2023-03-31
BtoBの新規開拓で成果を上げるための4つのポイント
BtoB 営業・マーケティング コラム
新規開拓の方策は多岐にわたりますが、そのメニューをながめてため息をついていても成果は上がりません。新規拡大のネックになっているポイントを見つけて、そこを集中的にメンテナンスすることで、営業プロセスの進行がスムーズになります。
この記事では、BtoBの新規開拓でネックになりやすい4つのポイントについて、確実な効果が望めるメンテナンス法を解説します。
既存客の徹底分析によるターゲットの明確化
ターゲットの明確化の重要性はつねに指摘されるところですが、具体的に何をすればよいか分からないことも多いものです。そんなときに確実な効果を期待できるのが既存客と自社の関係の分析です。
自社製品のどこが支持されたか(=強み)をもう一度確認する
優良な関係を維持している既存客と自社はなにゆえ相性が良いのかを分析することで、狙うべきターゲットが絞り込まれます。自社の「どこが」気に入って取引してくれるのかがわかれば、新規にアタックすべき企業のイメージが具体化してくるのです。
新規開拓のために自社製品の機能をもっと充実させるべきなのか、反対にシンプルな機能の使いやすいタイプの方に需要があるのかは、既存客の分析や最近の販売傾向などからうかがい知ることができます。
機能だけでなくサービスについての確認も大切です。
製麺会社から中華麺を仕入れるラーメン店がどの製麺会社から仕入れるかは、価格だけでは決まりません。配送を外部業者に任せないで麺のことを知っている自社ドライバーが配達していることが、関係を維持できるキーポイントになっているのかもしれません。
なぜ自社ドライバーによる配送が顧客にとって価値があるのか、その価値を重視するのはどんなタイプのラーメン店なのかを分析することで、新規開拓のターゲットに目星をつけられる可能性があります。
営業プロセスのどこに勝因があったかをふり返る
製品やサービスの強みだけでなく、商談まで運べた要因や、顧客のキーパーソンとのタッチポイントなど、営業プロセスのどこが成約につながったかもふり返ってみましょう。
既存客との成約につながったマーケティングポイントがどんなメールのどんなコンテンツだったのか。その履歴をふり返ることが可能なら、検証にかける時間は無駄になりません。新規開拓のヒントがかならず見つかるはずです。
MAやCRMなどに蓄積されたデータは、新規開拓のヒントを得るために活用してこそ値打ちがあります。
見込み客をナーチャリングするコンテンツの充実
見込み客の育成もつねに語られるポイントですが、育てるための食事(コンテンツ)がおろそかにされていませんか?コンテンツの内容が薄く、顧客が本当に知りたいことに答えていないようでは、食欲をそそることはできません。
ソリューションを提示するコンテンツを充実させよう
DM、メールマガジン、リスティング広告、ウェビナーに効果があるのは、その内容(コンテンツ)が顧客の心をとらえたときだけです。
的を射たコンテンツをつくるためには、上述した自社の強み、顧客が支持する自社の価値を把握しておくことが必須です。ディレクターやクリエイターの理解がしっかりしているほどコンテンツは魅力的になります。
ナーチャリングプロセスの段階に応じて、見込み客が探しているソリューションを提示するコンテンツを充実させることが新規開拓作戦の「実弾」になります。
コンテンツの表現と見せ方を磨こう
時間とコストに制約されて、十分に磨かれていないコンテンツを世に送り出すのは、かえってリソースの無駄遣いになります。
メールマガジンを配信するシステムにはコストをかけたが、一つひとつのコンテンツにはコストをかけられない、というのでは仏作って魂入れずです。
「ストーリー仕立ての劇画でアピールすればインパクトはあるだろうが、そんな予算はない」ということはあるでしょうが、イラストとコピーに磨きをかければ劇画に負けない効果、反応を得ることも不可能ではありません。
インサイドセールスの組織的支援
インサイドセールスの効果が注目されて、新規に立ち上げる企業が増えています。しかし、中途半端なスタートでは投資の大きさに見合う効果を期待できません。インサイドセールスを成功させるには、担当する社員に対する腰を入れた組織的な教育と支援が必須です。
新人には補助輪を与えることが大切
新人がオンボーディングするまでは、売上には結びつかない純粋な投資です。しかし、ハッパをかけるだけではオンボーディングは早まらないし、モチベーションも維持できません。
自社の製品や顧客の業務プロセスについての知識が充分ではない新人が、気後れせずにセールストークするには、順序立てたトレーニングをして、未熟な運転を補う補助輪を付けてやることが大切です。
しかし実際は、新人をまとめてプールに投げ込んで、自力で泳げるようになった人だけを引き上げるような「新人教育」も見受けられます。これでは新入社員に気の毒なだけでなく、企業にとっても投資に見合う効果は得られません。
担当者が参照できるコンテンツがないとトークはできない
新人に与える補助輪とは、具体的には次のようなコンテンツです。
- 商品の機能や特徴についての知識やインサイドセールスの業務の詳細を記した「セールスプレイブック」
- 顧客との電話トークの運びをストーリーにした「トークスクリプト」
- インサイドセールスの「成功事例集」
- FAQ
これらの実務に役立つコンテンツを用意しないで、インサイドセールスの効果をあげることはできません。
コンテンツをデジタル化して実務中にポップアップさせるツールなども開発されていますが、ペーパーベースでもかまいません。要は、組織に新人のオンボーディングを支援する姿勢があり、その資材が整えられていることです。
組織的支援とは、具体的には経営者が任命した教育担当者(トレーナー)の設置です。専任かどうかは問いませんが、必要なときにはマーケティング部や営業部とやりあったり、協力を要請することができる「実力者」がトレーナーになる必要があります。
デジタルツールをどう活用できたかを検証する
営業プロセスが複雑で、1顧客のデータだけでも膨大なものになるBtoB営業では、デジタルの活用なしに「競合に負けない新規開拓」を達成するのは困難です。
事実、多くの企業がMAやCRMを導入しています。しかし重要なのは、導入したことで具体的にどんな効果が上がっているのかを、経営層、マネジメント層を交えて検証することです。
デジタルネイティブに任せきっては貴重なデータを活用できない
苦手意識からデジタルツールの運用を若い社員に任せきるのでは、蓄積したデータから新規開拓につながる方策を導き出すことはできません。
データから抽出、分析された指標や傾向にどのような重要な意味があるかは、最終的には自社や顧客の業務について経験が豊富なマネジャー層や経営層が判断し、どの傾向に注目するかを決断する必要があります。
その判断や決断をするには、デジタルシステムについての概要をトップ層も把握しておかなければなりません。プログラミングを学ぶ必要はありませんが、若い者に任せる姿勢ではデジタルデータを新規開拓に活かすことは望めません。
複雑なツールを使いこなせないより、シンプルなツールを使いこなす
企業のMX(デジタルトランスフォーメーション)という大きな構想を描く前に、小さなことからコツコツと可視化されたデータの活用実績を積み上げていくことが大切です。
そのためには、さまざまことが可能な多機能のツールを使うより、なるべく多くの社員が使いこなせるシンプルなツールの方が良い場合があります。使いこなせなくても「見てわかる」社員が増えることに意味があります。
まとめ
BtoBの新規開拓でネックになっていることが多い次の4つのポイントについて、そのメンテナンス法を解説しました。
既存客の徹底分析によるターゲットの明確化→新規開拓の土台になる既存客と自社の関係をふり返ってみよう
見込み客をナーチャリングするコンテンツの充実→見込み客を育成するには食事(コンテンツ)が大切
インサイドセールスの組織的支援→実際に新規開拓をするのは社員だ
デジタルツールをどう活用できたかを検証する→今使っているツールのどこが新規開拓の役に立ったかを検証しよう
会社によってボトルネックになっていることはさまざまですが、そのポイントを見つけてメンテナンスすることで、停滞していた営業プロセスが流れ出します。本記事が、ネックの個所を見つけたときにどうメンテナンスするかの参考になれば幸いです。