2022-05-12
マーケティングオートメーション(MA)とは? メリットや機能、事例を徹底解説
BtoB 営業・マーケティング コラム
マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティングの活動を効率化する手法またはそのツールです。MAの導入によって、マーケティングや営業の活動を効率的に行えるメリットがあります。MAのメリットや導入の流れ、成功可能性を高める方法をくわしく解説します。
目次
マーケティングオートメーション(MA)とは
マーケティングオートメーション(Marketing Automation)は、見込み客獲得~商談までに至る一連のマーケティング活動を効率化する手法やツールを意味します。
矢野経済研究所が公開している調査結果によると、国内におけるDMP/MA(マーケティングオートメーション)事業の市場規模543億8,000万円であり、前年比で109.8%と拡大を見せています。※1
ECサイトなどのオンライン事業を運営している企業において、ITツールへの投資が積極的に行われていることが、MA市場の拡大につながっていると同社は指摘しています。
オンライン化が進む顧客購買行動への対応の重要性が高まっていることから、今後もMAの市場規模は拡大すると予想されます。したがって、顧客対応や事業の拡大を図る上で、マーケティングオートメーションの導入は有用な戦略であると言えるでしょう。
※1 矢野経済研究所 - DMP/MA市場に関する調査を実施(2021年)
マーケティングオートメーションのメリット・デメリット
マーケティングオートメーションのメリットとデメリットを紹介します。
メリット
MAの手法を実施したり、MAツールを導入したりすると以下6つのメリットを期待できます。
- マーケティングや営業を効率化できる
- マーケティング活動の脱属人化を図れる
- 見込み客の購買意欲を高めることで、案件の受注率や商談の成約率を高めることができる
- スピーディーかつ取りこぼしなく見込み客の獲得・育成を図ることができる
- マーケティング施策の効果を可視化できる
- 顧客との良好な関係構築やブランド力の向上を図れる
デメリット(注意点)
一方で、MAの導入に際しては、以下2つのデメリットに注意が必要です。
- 効果ができるまでに時間や費用がかかる
- 完全にマーケティング活動を自動化できるわけではない
SFAやCRMとの違い
MAと似たマーケティング手法・ツールに、「SFA」や「CRM」と呼ばれるものがあります。この章では、MAとSFAやCRMの違いを紹介します。
SFAとは?
SFA(Sales Force Automation)とは、営業活動を支援するシステムです。具体的には、営業活動の進捗状況や、獲得した顧客情報、売上などをデータベースで一元管理します。
SFAのツールを導入することで、以下3つのメリットを期待できます。
- 営業活動の効率化、省力化を図ることができる
- 営業マン同士で、ノウハウや顧客情報等の引き継ぎや共有をスムーズに行える
- 顧客に対するアプローチ忘れを防げる
CRMとは?
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客との良好かつ継続的な関係構築を図る手法またはツールを意味します。具体的には、過去における既存顧客の行動データ(購買行動など)を蓄積・分析します。
CRMを実施するメリットは以下の5点です。
- 顧客ごとに異なるニーズに対応できる
- ベストなタイミングで顧客にアプローチ(ダイレクトメールの送付など)を図れる
- 上記2つの利点により、顧客満足度の向上や収益性の向上などを見込める
- 顧客情報の管理に要する費用や労力を最適化できる
- 既存顧客を重視したマーケティングにより、安定的な利益を見込みやすい
CRM・SFAとの違い【まとめ】
上記でお伝えした内容をもとに、MAとCRMやSFAの違いをまとめると以下のとおりです。
マーケティング手法 (ツール) |
概要・目的 | 対象 |
---|---|---|
MA | 見込み客獲得~商談までのプロセス効率化 | 潜在顧客、見込み客 |
SFA | 営業活動の効率化 | 購買意欲が高い見込み客(営業対象) |
CRM | 既存顧客との関係構築 | 既存顧客 |
つまり、MAによって見込み客の獲得・育成を効率化し、その次にSFAによって効率的な営業活動を行い、獲得した(既存)顧客に対してはCRMによって良好な関係構築を図る流れとなります。
状況や目的に応じて各手法・ツールを使い分けることが、マーケティングや営業活動の効率化・収益性向上などのメリットを最大限に高める上では重要となります。
MAツールの機能
MAのツールには、マーケティングオートメーションの実施に役立つ機能が豊富に搭載されています。そのため、人的リソースのみで実施する場合と比べて、より成功可能性や効率性などを高めることが可能です。
以下が、MAツールの主な機能です。
機能の名称 | 機能の詳細・概要 |
---|---|
見込み客の獲得に役立つ機能 (リードジェネレーションの機能) |
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見込み客の情報を管理する機能 |
|
見込み客の育成に役立つ機能 (リードナーチャリングの機能) |
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購買意欲の高い見込み客の絞り込みに役立つ機能 (リードクオリフィケーションの機能) |
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その他の機能 |
|
MAツールを導入・運用する流れ
次に、MAツールを導入してから運用するまでの手順をわかりやすく解説します。
手順①:課題検討・目標設定
まずは、マーケティングオートメーションによって解決したい課題を洗い出します。課題が明確でないと、本来は不必要であるツールを導入して費用を無駄にしたり、課題解決に直結するものとは異なる手法やツールを導入したりする可能性があります。
課題を明確にすることで、「MAツールが本当に必要かどうか」、「課題解決のために、どのような機能が搭載されたMAツールが必要か」を判断できるようになるでしょう。
課題を明確化したら、MAツールの導入で達成したい目標を具体的な数値で設定します。目標を明確にすることで、マーケティングオートメーションの進捗度合いを都度把握できるでしょう。
手順②:導入ツールの決定
一般的に、マーケティングオートメーションはITツールを導入した上で行われます。そこで、課題や目標が明確となったら、導入するMAツールを決定します。
MAツールを決定する際には、予算やツールに搭載されていて欲しい機能をもとに費用対効果の高いツールを選ぶことが大切です。たとえ高性能なツールを導入しても、自社にとって必要な機能がないと、費やしたコストは無駄となってしまいます。
したがって、予算の範囲内で導入でき、かつ自社にとって必要な機能が搭載されたツールを選ぶようにしましょう。
また、自社の人材が使いこなせるツールであることも重要です。この点については、後ほどくわしく解説します。
手順③:運用体制の構築・ツールの実装
ツールを導入したら、マーケティングオートメーションの施策を運用する体制を構築します。具体的にやるべきことは主に以下のとおりです。
- 運用チームや連携部署の決定
- カスタマージャーニーマップ(見込み客が自社製品を発見してから購入するまでの流れ)の作成
- 実施するマーケティング施策(ダイレクトメールの送付など)の検討・決定
- 施策で活用するコンテンツの準備
また、導入するMAツールの実装も行います。具体的に行うべき内容は次のとおりです。
- シナリオ設計
- スコアリングの設定
- 各種ツールとのデータ連携
手順④:運用開始・効果測定
ツールの準備まで完了したら、実際にマーケティングオートメーションの施策やツールの運用を開始します。
運用を開始したら、定期的に効果測定を行い、当初の想定通りに効果を得られているかをチェックすることが重要です。効果に問題がある場合には、必要に応じて施策の変更などの改善を行いましょう。
マーケティングオートメーションを成功させる方法
マーケティングオートメーションは、ただ闇雲に実施しただけでは成功するとは限りません。この章では、MAの導入・運用を成功させる可能性を高める方法を4つ紹介します。
MAの遂行を担う人的リソース・予算を確保する
マーケティングオートメーションの効果を実感するには、十分な予算や人員が必要です。予算や人員が不足すると、効率化につながるツールを導入できなかったり、施策の実行スケジュールに支障が出たりする可能性があります。
こうした事態にならないためにも、最終的な目標から逆算し、目標を達成する上で十分なほどの人的リソースや予算を確保しましょう。
自社人材が使いこなせるツールを導入する
MAツールを導入するに際して、できる限り高性能なものを選べば良いと考える方は多いです。しかし、高性能のツールであるほど、前提知識として必要なIT・マーケティング知識が多かったり、ツールの操作方法が複雑であったりする傾向があります。
そのため、高性能なツールを導入した結果、自社の人材では使いこなせない可能性があります。使いこなせないツールを導入すると、高額な費用を投じた割には十分な効果を得られない結果となり得ます。
したがって、マーケティングオートメーションの遂行を担う人材について、どの程度のIT・マーケティング知識やスキルを有しているかを確認しておきましょう。その上で、自社の人材で扱いこなせるツールを導入することがおすすめです。
部門間の連携を積極的に図る
マーケティングオートメーションの実施には、マーケティング部門だけでなく、商談を行う営業部門や人員配置を行う人事部門、ITツールの導入をサポートするIT部門など、あらゆる部門が関係してきます。
そのため、MA施策の効果を得るには、各部門の連携を積極的に図ることが大切です。具体的には、部門の垣根を越えた話し合いを積極的に行い、導入するツールの決定や人員の選定、施策の策定などを実施しましょう。
外部の専門家によるサポートを最大限活用する
ここまで説明してきた通り、マーケティングオートメーションの実施は決して簡単ではありません。そのため、十分にMAのノウハウや知見がない企業の場合は、外部の専門家(コンサルタントやMAツールの提供会社など)によるサポートを最大限活用することがおすすめです。
外部専門家から支援を受けることで、MAの施策を実施したことがない企業でも、円滑かつ結果につながる施策を実施できる可能性が高まるでしょう。
マーケティングオートメーションの成功事例
最後に、マーケティングオートメーションの成功事例を2例紹介します。事例を確認することで、MAが企業でどのように実践されているかを把握できますので、ぜひ参考にしてください。
LINE Pay
事業の概要 | モバイル決済サービスを運営 |
導入したツール | Marketo Engage |
マーケティングオートメーションを実施した目的 | 自社サービスの加盟店拡大 |
具体的に実施した施策 |
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MAによって得られた効果 | 2019年1月~3月におけるWebサイトからの加盟申し込み数増加(2018年同期間比で約110~140%)※2 |
※2 Marketo Engage - LINE Pay|導入事例
マネーフォワード
事業の概要 | 個人向けにお金の見える化サービスである「マネーフォワード ME」や、企業向けのバックオフィスSaaS「マネーフォワード クラウド」などのサービスを運営 |
導入したツール | Marketo Engage |
マーケティングオートメーションを実施した目的 | パートナービジネスにおける案件管理の効率化 |
具体的に実施した施策 |
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MAによって得られた効果 |
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※3 Marketo Engage - マネーフォワード|導入事例
まとめ
マーケティングオートメーションは、見込み客獲得や育成などの活動を効率化できるプロセスです。営業やマーケティング活動の生産性や費用対効果を高めたい経営者やマーケターの方は、ぜひマーケティングオートメーションの実施を検討してみてください。