2023-02-27

BtoBのアポ獲得に必要な3つのポイントを徹底解説

BtoB 営業・マーケティング コラム

コロナ禍の影響やサブスクの隆盛などビジネスモデルが変化する中で、インサイドセールスによる営業アポイントの獲得が重要性を増しています。

しかし、BtoB営業では新人にテレアポを取らせて、ベテランの営業が商談をする、という従来のやり方ではなかなか成果が上がらなくなっています。「とにかく一度お目にかかってご説明したい」というアポは相手にとっても時間の無駄になりがちです。

この記事では、良質のアポイントを獲得するためにBoB企業が心得るべき3つのポイントをわかりやすく解説します。

ポイント1.良質なターゲットリストを準備する

「魚がいない池で釣りをする」ことにならないように、アポを獲得するにはまず良質なターゲットリストを準備するのが肝要です。

社内に散在する顧客リストを一か所に集める

営業が持っている名刺やマーケティングが持っている資料請求リストなどが、社内に散在しているのでは効率的にアポを獲得できません。

もっとも散在しやすいのが名刺です。BtoBでは営業パーソンが獲得した名刺は個人ではなく企業の財産です。名刺は、個人が管理して思い出したときに電話をかけてみるとか、もう古くなったと勝手に捨ててしまうようなものではありません。

名刺を企業全体の財産にするにはデジタル化することが必須です。名刺の入手者や場面、日付などの情報を加えてデジタル化することで、ターゲットの個人名や部署も分かる上質の見込み客リストになります。

名刺のデータや資料請求者、セミナー参加者などのデータが別々のシステムやファイルに入っているのも「情報の散在」です。組織的にアポ獲得の作戦を立てて実行するには、すべての見込み客リストが1つのシステムに入っていなければなりません。

BtoB営業にとっての名刺の重要性については下記の記事をご参照ください。

BtoBマーケティングにおける名刺の重要性と活用法

ターゲットセグメントを洗い直す

自社の製品やサービスを必要としているのはどんな企業なのかをもう一度洗い直して、ターゲット像を絞り込みましょう。

「どんな企業か」というのは「どんな課題を抱えている企業か」ということです。自社がソリューションを提供できる企業はどれくらいの規模のどんな業種(業態)かを絞り込むことができれば、リストの質が上がりアポ獲得の確率が向上します。

例えば、経費や出張旅費のペーパーレス精算システムが商品なら、既存の顧客の従業員数が100~300人だとしても、そこだけが良質の鉱脈とは限りません。時代は変化しているので、いまは50人程度の企業がもっともそのソリューションを求めているセグメントかもしれません。

広告、オウンドメディア、ウェビナーで見込み客を増やす

新しいリード(見込み客)を獲得する施策は絶えず続けていく必要があります。新しいリードはWebサイトを見るなどで自分からアクションを起こした顧客です。つまり、なにか解決したい課題を抱えている企業です。

下記のようなコンテンツ、媒体に反応した企業は、アポイント獲得まで育てることが期待できるホットリードだと言えます。

  • オウンドメディア(自社ホームページ)
  • リスティング広告(顧客がキーワード検索をしたときに表示されるWeb広告)
  • Webセミナー

とくにオウンドメディアは、その気になればいくらでもターゲットの関心を引くコンテンツ(記事)を掲載することができます。コストも抑えることが可能です。

オウンドメディアで熱心に読まれるのは、ニーズが具体化している企業なら「商品紹介」や「導入事例」です。ソリューションを模索している段階なら、関心があるキーワードをWeb検索してヒットした「ブログ」の中の記事が読まれるでしょう。

ソリューションを求める企業が検索したときにヒットするコンテンツがないのでは、見込み客を増やすことをできません。自社の製品(サービス)にとってどんなキーワードが重要かを、製品の特徴と提供できる価値から判断して、重要キーワードに関するコンテンツを充実させていきましょう。読者がコンテンツを有益だと判断すれば、製品への信頼度も高まります。

商品紹介だけでなくブログのコンテンツからも資料請求が来るようになれば、見込み客の数はグンと増えます。

オンライン施策では難しい役職層にアプローチ!|ターゲットリスト総合ページ

ポイント2.見込み客を育成する

アポイント獲得のためには、見込み客に適切なタイミングで情報を提供して、ホットリードに育成していかなければなりません。ターゲットが十分温まったところでコールすればアポ獲得は難しくありません。

ナーチャリングのプロセスに応じたコンテンツ(情報)の提供

資料請求やウェビナーなどで得たメールアドレスは、定期的なメール送信でナーチャリングを深めていきましょう。どのタイミングでアポイントをリクエストするかは製品やサービスによって違いますが、

リードの関心度、検討の段階に応じて適切なタイミングで用意しているコンテンツを提供するには、リードをスコア分けしてスコアに応じたコンテンツを用意しておく必要があります。

相手の顔が見えない段階でその温度を測るのは簡単ではありませんが、Webサイトの閲覧回数やメール開封履歴・開封率、資料請求の履歴などからスコアリングしてみましょう。

資料をダウンロードしてくれた段階で、アポのリクエストではなくウェビナーへの誘いなどの名目で担当者にコールして生の声を聞くのも、温度を図るうえで有効です。その感触によって、次に提供する情報(コンテンツ)を判断します。思いのほか検討段階化進行しているようなら、その電話でアポが摂れる可能性があります。

育成プロセスの中で顧客の課題を察知する

リード育成のプロセスの中で顧客の事業課題を察知するのは非常に重要です。課題のソリューションとなることをアピールするコンテンツの提供や電話でのトークで、アポ獲得につなげることが可能です。

顧客の課題を察知するアンテナを敏感にするには、マーケットにおける自社製品の価値、強みと弱みを良く把握しておくことが必要です。競合には提供できない価値(バリュープロポーション)が顧客のソリューションになる場合は、アポ獲得の確率がグンと高くなるからです。

バリュープロポーションについては下記の記事をご参照ください。

「良い製品なのに売れない」を打破するバリュープロポジションの定め方

ポイント3.インサイドセールスを強化する

育成に時間がかかるBtoBのナーチャリングでは、組織としても個人としてもインサイドセールスの巧拙がアポ獲得率を左右します。

セールスプレイブックとトークスクリプトを用意する

インサイドセールス(アポ獲得のための電話セールス)は、マーケティング部門や営業部門の新人のファーストキャリアになるのが通例です。

しかし、自社製品についても顧客の業務の流れや実態についても十分な知識がない新人が、顔の見えない見込み客に電話でセールストークをするのは簡単な仕事ではありません。

「当たって砕けろ」「数でこなせ」では、新人には大きなストレスになるし、会社にとっては費用対効果が低い投資になります。さらには、電話を受けるターゲットから見た自社イメージを悪くするリスクもあります。

見込み客を育成するのにコンテンツが必要なのと同様に、新人を育成するための適切なコンテンツが必要です。業務の手順や製品知識などをまとめた虎の巻(セールスプレイブック)を新人に与え、いつでも参照できるようにしてあげましょう。

インバウンドコールのコールセンターのオペレーターには、コールの最中にパソコン画面にポップアップで必要な情報を与えるデジタル化された虎の巻の利用があたりまえになっています。アポ獲得のアウトバウンドコールでは、まだそこまで行っていないのが現状ですが、使いやすい虎の巻を用意するのは必須です。

虎の巻には、会話の展開を予想したトークスクリプト、ベストプラクティス(成功事例)、こんなときどうするのFAQなど、さまざまなものが含まれます。とくに具体的なトークの見本となるトークスクリプトは、いくつかのストーリーを想定してていねいに作り込むことが大切です。

組織的な支援・教育で新人のオンボーディングを早める

新人がチームの一員としてオンボーディングする(一人前になる)までは、企業にとっては収益が発生しない投資期間です。先述の虎の巻の用意も含めて、組織的な新人支援、教育でいかに早く新人をオンボーディングさせるかが非常に重要です。

新人をイネーブルする(力をつける)には、先輩社員のOJTに任せるのはノウハウが属人化し、育成にばらつきが生じます。組織として取り組む姿勢を明確にする必要があります。

組織として新人を育成するには、専任、兼任は問わないにしろ、教育プロセス全体をマネジメントする「育成者」を任命することが肝要です。育成者には、場合によっては経営層ともやりあったり、営業部のうるさがたにも協力を要請したりできる立場と実力が求められます。

育成者は、オンボーディングへのプログラムやスケジュールに従って研修を行い、グルーワークによるロールプレイングなどのトレーニングを実施します。

新人のオンボーディングを早めるには、顧客に接するコア業務を圧迫する間接業務をできるだけ減らしてやることも重要です。会議やデータの入力、報告書の作成などに費やす時間とエネルギーを少なくして、コア業務に集中できる環境を整えてあげましょう。

新人のオンボーディングを早める方法については下記の記事をご参照ください。

セールスイネーブルメントとは ― IT時代の営業力を強化する人材育成の仕組み

仕事の成果を適切に評価するーモチベーションのアップによるスキルアップ

仕事の目標と評価基準を明確にし、成果を適正に評価することで、スタッフのモチベーションをあげてスキルアップにつなげましょう。

アポ獲得のインサイドセールのKPI(重要業績評価指標)には次のようなものがあります。

  • 荷電数
  • 通電率
  • 担当者リーチ率
  • アポ獲得数(フィールド営業へのトスアップ数)

この中でもっとも重要なのはアポ獲得数ですが、数だけでなく営業にトスアップした後の成約率も評価しなくてはなりません。10件トスアップして1件成約するより、5件トスアップして1件成約する方が、営業の労力から見ても効率的なのは言うまでもありません。

まとめ

BtoB営業のアポ獲得を増やすには、組織的にコールチームを支援するコンテンツ作り、体制づくりが必須です。

新人が配属されることが多いコールチームに力をつけ、早くオンボーディングさせるためには、セールスプレイブックやトークスクリプトなどのコンテンツの容易と新人のトレーニングをマネジメントする育成者の任命がポイントになります。

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