2022-06-02

BtoBのターゲティングに必要な4つの視点と6つの判断基準をわかりやすく解説

BtoB 営業・マーケティング コラム

マーケティングの最初のステップであるターゲティングは、BtoB企業ではとくに重要です。ターゲティングの精度によって営業の成功率が大きく左右されます。
この記事では、

  • なぜBtoBではターゲティングが重要なのか
  • BtoBのターゲティングに必要な4つの視点
  • ターゲティングする際の6つの判断基準
  • BtoB企業のターゲット設定方法

の4つのポイントから、BtoBのターゲティングをわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。

ターゲティングとは

ターゲティングとは、自社の製品を販売するターゲット(標的)を定める行為です。

ただし、ビジネスの標的は、狩りの「獲物」ではないので、双方がwin-winにならなければなりません。したがって「自社と顧客双方のメリットが最大化する組み合わせを探る」のがターゲティングです。

とくにBtoBビジネスでは、1回だけの売り切りが目的ではないので、関係を継続し、パートナーシップを築いていける相手を見定めることが重要です。

マーケティングにおけるターゲティングの位置づけ

マーケティングの基本的なフレームワークであるSTP分析では、ターゲティングを次の3つの分析軸の1つと位置付けています。

  • : セグメンテーション(市場細分化)
  • : ターゲティング(狙う市場の決定)
  • : ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)

この3つは、S→T→Pの順序で分析を進めるのが教科書的な説明ですが、実際はある程度ポジショニング(競合関係)を明らかにした上でS→T→Pを繰り返し、それぞれの精度を高めて行くことになります。

BtoBマーケティングにおけるターゲティングの重要性

BtoBは見込み客の母数がBtoCよりも小さいのが特徴ですが、それが直ちにターゲットの定めやすさには結びつきません。

BtoCでは顧客のネット履歴などから見込み客を抽出するMA(マーケティングオートメーション)の手法が発達していますが、これは母数が大きいからこそ可能なターゲティングです。

いわゆるペルソナの設定も、意思決定者の顔が見えにくいBtoBでは簡単ではありません。

しかし、母数が小さく、個々の標的が大きいBtoBは、やり方次第でターゲットの精度を上げることが可能です。

成約までのプロセスに多くの時間とコストを投入しなければならないBtoBでは、的確なターゲティングで確度の高いリードを集めることが、ビジネスの生命線となるほどに重要です。

BtoBのターゲティングに必要な4つ視点

的確なターゲティングを行うために重視すべき4つの視点について解説します。

1.バリュープロポジション

バリュープロポジションとは「顧客が求める価値」で「自社にはある」が「競合相手にはない」領域(市場)です。

バリュープロポジション

※図表引用元 : https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1104/20/news007.html

革新的な新商品でない限り、競合のない商品やサービスは存在しませんが、そういう大づかみな価値ではなく、一見似たような商品・サービスの中の「自社だけの強み」や「自社だけが付与できる付加価値」を把握することが重要です。

2.費用対効果

投資とリターンを勘案して、利益が出るターゲットを選ぶという視点が大切です。

投資額は「マーケティング費用+営業費用」で計算されますが、マーケティングにおけるターゲティングの確度が高いほど、営業費用の「ムダ撃ち」が減り、トータルの投資額が小さくなります。

最小の投資で最大の成果を上げるには、マーケティング部と営業部が販売プロセスのなるべく早い段階からタッグを組む必要があります。言い換えると、ターゲティングの段階から、自社の営業部の「売り方」の特徴を考慮して、アプローチしやすいターゲットを選ぶことが肝心です。

市場の成熟化が進むなかで注目が高まっている「アカウントセールス」は、顧客の課題のソリューションを提供することで、長期的でお互いにとってメリットが大きい関係を築いていくセールス手法です。

このようなアプローチでは、自社がソリューションを提供できる課題を抱えている企業を見出すターゲティングが、費用対効果を上げるキーポイントになります。

アカウントセールスについては次の記事でわかりやすく紹介していますので、ご参照ください。

「アカウントセールスとは? 中長期的な関係性を築く営業施策について解説」 オンライン施策では難しい役職層にアプローチ!|ターゲットリスト総合ページ

3.絞り込みと注力

ターゲットをできるだけ絞り込んで、そこに競合他社より手厚いアプローチをする視点も重要です。上記の「費用対効果」を上げるための具体策が「絞り込みと注力」です。

限定したターゲットへのアプローチにより多くの予算を投入して、先方の担当者の心(興味・関心・悩み)に響く施策を行います。

具体的には、展示会案内のDMやメールでも、絞り込んだターゲットの関心や悩みを意識して文面を練り、展示会で集めた名刺に電話するときのトークの運び方もよく練り込みます。

自社ホームページのコンテンツも、先方の担当者や意思決定者の心に響くものでなければなりません。

このような「的を射たアプローチ」をするためには、絞り込んだターゲット層を代表する企業像、担当者像をできるだけ具体的に描いてみる「ペルソナの設定」が必要になります。

アプローチの初期段階でターゲットのペルソナが描けているかいないかは、施策やコンテンツの質(的を射る精度)を大きく左右します。

4.ターゲットのニーズの要(選択基準)を把握する

ターゲティングがある程度進んで具体的な企業名があがってきたら、その企業がもっとも重視する「ニーズの要」、言い換えると「選択基準」をできるだけ早く察知して、そこを攻めるのがポイントです。

先述の「バリュープロポジション」では、競合にはない自社が提供できる価値が勝負できる市場だと述べましたが、「顧客が求めているのに競合が気づかない価値」もある意味ではバリュープロポジションだと言えます。

ターゲティングする際の判断基準/6つのR

自社の経営資源やポジションをふまえたターゲティングに必要な判断基準「6R」について解説します。

1.充分な市場規模があるか ― Realistic Scale

セグメントした市場の規模があまりに小さいと、そこで勝負しても企業が存続するに十分な利益を上げることはできません。

ニッチを狙うにしても、ある程度の市場規模が必要です。

2.競合は強いか ― Rival

市場が大きくても、競合の力が隔絶して強い場合は勝ち目が薄くなります。

しかし「競合が強い」だけではアバウトすぎる把握なので、たとえば、その競合がどの地域でとくに強く、どの地域ではまだカバーされていないのか、などを精査する必要があります。

3.市場の成長が見込めるか ― Rate of Growth

先行する強い競合があっても、商品やサービスが成熟しきっていない場合は、参入に成功する可能性があります。この場合はむしろ、先行企業が苦労して開拓した需要に,労せずしてアピールすることができます。

市場の成熟度や将来性を見通すのも重要な判断基準です。

4.ユーザーにとって優先順位の高い商品か ― Rank

Rankは、自社の製品をもっとも必要とする(なくてはならない)ユーザはどこにいるかを探るターゲティング指標です。

たとえば、コピー機はどの企業にも必要な機器ですが、必要度合いは企業によって違います。また、詳細な天気予報の情報サービスが必要な企業もあれば、まったく必要のない企業もあります。

自社製品に対する優先順位の高い顧客に的を絞るのが、ターゲティングのRank指標です。

5.アプローチ可能なターゲットか ― Reach

「宝の山」があっても、そこに近づけなくては意味がありません。顧客へのアプローチの可能性を探るのが、ターゲティングのReach指標です。

自衛隊に「行軍演習でも破れない靴下」を販売しようという卓抜なアイディアを得たある企業は、アプローチには非常に苦労したものの、なんとかReachに成功して大きな市場を独占的に手に入れました。

このように、アプローチが困難なほど競合が少なく、成果が大きい場合もあります。

6.アプローチの効果を測定可能か ― Response

アプローチから成約までの途中プロセスで、ある程度効果の測定ができないと、思い切って注力できず、失敗したときの損失が大きくなります。

Webマーケティングでは多くのMA(マーケティングオートメーション)ツールが開発・提供され、レスポンスを測定できるようになりました。導入する企業も多くなりましたが、必ずしも有効活用されていないふしがあります。

アプローチの早い段階でツールを活用してターゲットを絞り込めば、マンパワーをつぎ込む際の確度を高めることが可能です。

BtoB企業のターゲット設定方法

具体的にターゲット設定を行うときのスタンスについて解説します。

バリュープロポジション(自社の強み)から選定する

ターゲティングの「4つの視点」の1つとしてご紹介した「バリュープロポジション」は、具体的なターゲット選定においても常に意識しておく必要があります。

バリュープロポジションは言い換えると「自社の強み」があるエリアです。自社の強みをもっとも発揮できるターゲットを探すのが、BtoBのターゲティングの1丁目1番地です。

実績のある勝ちパターンから選定する

既存顧客を獲得した際に「なぜ成功したのか」の要因を振り返り、自社の勝ちパターンを見つけることが重要です。

そのうえで、その勝ちパターンが功を奏しそうなターゲット(既存顧客と似ている企業)を探すのが、実践的で成功率が高いターゲット選定法になります。

勝ちパターンを探すことは、上記の「自社の強みから選択する」に通じる部分も多いのですが、さらに具体的なアプローチ方法まで示唆してくれるメリットがあります。

企業の属性情報から選定する

自社製品へのニーズがある顧客を企業の属性情報から探す、一からのターゲティングです。企業の属性には、業種、規模、所在地、企業理念など多くのものがありますが、それらの情報から自社製品・サービスへのニーズの有無や優先度を探ります。

手間と時間がかかりますが、ターゲティング設定の基本スタンスです。ある程度の絞り込みをすでに行っているリストの購入も有効です。

まとめ

BtoBのターゲティングのポイントを「必要な4つの視点」「指標となる6つの判断基準、「3つのターゲット設定方法」から解説しました。本記事が、ターゲティングの精度を高める施策について考える際の参考になれば幸いです。

他の企業リストにはない部門責任者名を掲載|ターゲットリスト総合ページ