2022-07-20

BtoBのリードナーチャリングの重要性と実施方法の基本を分かりやすく解説

BtoB 営業・マーケティング コラム

BtoCのような衝動買い、印象買い、即断即決が期待できないBtoBでは、見込み客の育成(リードナーチャリング)が企業の死活に直結する重要テーマです。

とくにWebで情報収集する顧客が主流となった現代では、そのタッチポイントからいかに見込み客を育成していくかが、マーケティングと営業の要になっています。

この記事では、これからナーチャリングに本格的に取り組もうとしている人に向けて、BtoBのリードナーチャリングの重要性と実施方法のポイントを基本から分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。

リードナーチャリングとは?

リードナーチャリングとは、見込み客(リード)を顧客に育成(ナーチャリング)するという考え方やその手法のことです。

展示会で集めた名刺、自社Webサイトで資料請求した人、Eメールを開封した人など、リードはさまざまな経路で集まりますが、製品やサービスへの関心度には強弱があり、すぐに営業をかけても良い結果は期待できません。

集めたリードに対して適切なタイミングで情報提供などのアプローチをして、成約の可能性が高いリードに育てていくのがリードナーチャリングです。

コールドリードをホットリードに育成する

リードナーチャリングは、コールドリード(購買可能性がまだ高くないリード)をホットリード(購買可能性が高いリード)に育てていくことです。

しかし、コールドリードのすべてが、ナーチャリングによってホットリードに育つ可能性があるわけではありません。

リードはある程度自社製品やサービスについて知っている「認知層」「関心層」ですが、認知が深まれば関心が強まって、やがて購入に至るとは限らないのです。

とくにBtoBでは、衝動買いはありえず、本当に必要なもの(自社の課題を解決するもの)かどうかを精査し、比較検討してから購入します。製品についての知識が深まることで「自社には必要ない」と判断されることも当然あります。

したがってリードナーチャリングは、リードをふるいにかけて育てるべきリードを見極めるプロセスでもあります。言い換えると、製品の特徴・強みと顧客のニーズがマッチするリードを早く発見し、適切なアプローチをするのがBtoBのナーチャリングです。

リードナーチャリングの目的

リードナーチャリングの目的は、競合する製品・サービスに見込み客が流出するのを防ぐことです。

製品が顧客の課題解決に必要なものなら、顧客はいずれにせよ類似製品の中から1つを選ぶことになります。その選択プロセスで適切な情報を提供し、競合から自社製品を際立たせるのがリードナーチャリングです。

リードナーチャリングの役割

リードナーチャリングの役割をマーケティング用語で整理すると次のようになります。

  1. リードジェネレーション : Webサイトや展示会などでリードを獲得する
  2. リードナーチャリング : 有益なコンテンツ(情報)を提供してリードの関心・購買意欲を高めるとともに、顧客のニーズの中核を探る
  3. リードクオリフィケーション : 購入可能性の高い見込み顧客を選別する
  4. ④クロージング : フィールド営業で契約まで運ぶ

広い意味では、上記の②~③がリードナーチャリングです。

なぜBtoBでリードナーチャリングが重要になったのか

購買プロセスが長期で複雑なBtoBでは、リードナーチャリングがマーケティングと営業活動を最適化するための重要な鍵になります。また、近年はMA(マーケティングオートメーション)ツールなどITツールの発達で、リードの一元管理が可能になったのも、リードナーチャリングの重要性が増す要因になっています。

Webが顧客の最初の情報収集手段になった

顧客が自社に必要な製品を探す最初の手段は、ほとんどの場合Webサイトになりました。Webで自社製品にコンタクトしたリードを、いかに成約に結び付けるかがBtoB企業の生命線になったのです。

営業チームと購買担当者の接触に較べると、Webでの接触はたいへん「軽いコンタクト」なので、上手に育てないと雲散霧消してしまう確率が大です。Webによる情報収集が一般化したことで、ナーチャリングの重要性がより高まりした。

リードの獲得方法が多様化した

Webによる情報収集など、リードが発生する経路が多様化しました。それにともなって、見込み客の製品に対する関心の度合いにもレベルの差が大きくなりました。

さまざまな経路から集まったレベルの違うリードに一斉営業をかけるわけにはいかないので、必然的に「休眠リード」や「放置リード」が増えることになります。そこで必要になったのが、リードナーチャリングです。

リードナーチャリングによる、リードの一元管理、仕分け、育成ストーリーに基づいた情報提供が重要になりました。

MAによるリードの一括管理や追跡、分析が可能になった

近年は、MA(マーケティングオートメーション)のサービスが充実して、リードの一括管理やナーチャリングの進行管理が可能になりました。MAツールの使い勝手も向上し、専門的なIT知識やスキルがなくても利用可能です。

この状況は、MAツールを上手に利用する企業と使えない企業の間に、ナーチャリングの巧拙や効率に格差を生み出しています。MAツールを導入していない企業が不利になるだけでなく、導入したが使いこなせずに混乱が生じているケースが多く見られます。

オンライン施策では難しい役職層にアプローチ!|ターゲットリスト総合ページ

BtoBでのリードナーチャリングのメリット

リードナーチャリングは、衝動買いが期待できず、成約までのプロセスが長いBtoBではとくにメリットが大きくなります。具体的には、下記のようなメリットがあります。

長期フォローの仕組みづくりができる

BtoBのリードナーチャリングは、以下のようなステップを踏んで「育成」を行います。

  • リードを獲得経路などで分類・整理する
  • リードの種類に応じて育成のシナリオを設計する
  • シナリオに合わせたコンテンツを作る
  • 発信したコンテンツへの反応を見てリードの成約確度をスコアリングする
  • リードのスコアに応じて、再アプローチやフィールド営業を行う

このような仕組みづくり、仕組みに基づいたナーチャリングによって、リードを放置することなく、適切なタイミングでアプローチできます。

マーケティング部と営業部の連携が強化される

一般的にマーケティング部門と営業部門は、スタッフのキャリアや肌合いが違い、意思の疎通が円滑に進まないケースが少なくありません。

しかし、上記のようなナーチャリングのプロセスを両部門で共有し、協力して実行することで、連携が強化されることが期待できます。

フィールド営業の省力化と成約確度の向上が望める

適切なナーチャリングを行うことで、自社製品の特長や強みを理解した顧客を増やすことができ、確度の高いターゲットに集中して営業することができます。

リードナーチャリングの手法

ナーチャリングには顧客を惹きつける魅力あるコンテンツが必要です。それを届ける手段は、初期の段階ではWebが中心となります。

オウンドメディアによるWeb接客

ナーチャリングには、オウンドメディアつまり自社のWebサイトが不可欠です。なにかのキーワードで検索し、サイトを訪れた見込み客をいかに「接客」するかは、BtoBのナーチャリンの最重要テーマと言っても過言ではありません。

Web接客のポイントは下記の3つです。

  • 自社サイトがGoogle検索で上位に掲載されるために、ユーザーにとって有益なコンテンツを蓄積する(=SEO対策を施す)
  • サイトデザイン・構成をユーザにとって見やすく快適なものにする
  • ユーザーとコミュニケーションする仕掛けを設ける(資料請求・問い合わせフォーム・メールマガジン購読・チャットポッド・よくある質問コーナー)

Eメール

Web接客などで入手したメールアドレスに、適切なタイミングでEメールを送ることでナーチャリングします。

Eメールにおいても、見込み客の事業課題を解決する有益なコンテンツを発信することがもっとも重要です。

見込み客のパソコンには毎日数多くのEメールが届きます。迷惑メールリストに登録される前に自社メールを際立たせるように、顧客の関心・課題の核心を突くキャッチフレーズで配信しましょう。

セミナー/ウェビナー

Webやメールで見込み客に告知してセミナーあるいはウェビナー(Webセミナー)を開催し、参加者をナーチャリングします。

セミナーやウェビナーでは、 見込み客が参加してみようと思うテーマ(タイトル)を設定することがもっとも重要です。

内容は講師を招いての講演や対談などなどがありますが、見やすくまとめたスライド資料を用意することが大切です。

最後の「質問コーナー」で多くの質問が寄せられるようなら、セミナーは成功と言えます。セミナー終了後は、できるだけ早くメールや電話でフォローしましょう。

電話営業(インサイドセールス)

ある程度育った見込み客に電話でアプローチすることで、さらなる情報の提供や訪問営業のアポを取ります。

電話営業のトークには経験やスキルが必要ですが、大切なのは顧客が抱えている課題を聞き出して、そのソリューションとなる自社製品の強みをアピールすることです。

電話営業のゴールは、トーク内容に基づいてさらにDMやメールで情報提供することを約束したり、訪問営業のアポを取ることです。

SNS

SNSを利用するBtoBのナーチャリングはまだ未開の大陸で「可能性は大きそうだがなかなか具体的にイメージできない」のが実情でしょう。

SNSを上手に利用しているBtoB企業として知られているのが採用支援サービスのWantedly(ウォンテッドリー)です。Wantdlyの「ビジネスSNS」は求人企業と求職者を結びつけるプラットフォームという商品であるとともに、採用に関するトレンド情報を発信、交換するSNSでもあります。

Wantedlyが力を入れているSNS利用の1つが、Twitterでの社員の個人アカウントによる情報発信です。個人の仕事への取り組みや感想から、顧客はWantedlyの特徴や強みをうかがい知ることができます。この方法はどのような業種のBtoB企業でも応用が可能です。

DM、リターゲティング広告

ナーチャリングの進行に合わせたDMや広告でさらにナーチャリングを深めることができます。Webよりも紙媒体のDMがクロージングへの最後の一押しになることも少なくありません。

過去にWebサイトを訪問したことのあるユーザーに配信するリターゲティング広告も、リードナーチャリングの優良な手段です。

リードナーチャリングの効果を高めるポイント

成約に結び付くナーチャリングを行うための重要なポイントを解説します。

魅力あるコンテンツこそがリードを育む母乳になる

上記のどのナーチャリング手法を使う場合も、そこで用いるコンテンツに魅力がないと施策の効果は上がりません。MAツールを駆使しても、コンテンツが貧弱ではリードは育たないのです。

魅力のあるコンテンツとは、顧客の課題を解決するために役立つ情報です。コンテンツの中に顧客が求めるアンサーがあることを、簡潔なキャッチフレーズで表現しましょう。

カスタマージャーニーを見定める

顧客の意思決定プロセスを企業やバイヤーペルソナに基づいて想定し、そのカスタマージャーニーに合わせて、ナーチャリングのシナリオ設計を行うことが重要です。

ペルソナの設定と同様に、カスタマージャーニーの設定においても、既存の顧客をモデルにするのが実際的であり、有効でもあります。

バイヤーが購入プロセスにおけるいくつかのタッチポイントで、何を考え、何に左右されるかを具体的にイメージできるほど、用意するコンテンツのピントがシャープになります。

BtoBのペルソナ設定については次の記事を参照してください。

BtoBマーケティングでのペルソナの必要性と、現場で使える設定方法

インサイドセールスのタイミングを逃さない

リードの育ち具合をスコアリングするルールを作り、そのスコアに基づき、適切なタイミングでEメールの送信、ウェビナーの開催、電話などのインサイドセールスを行いましょう。

タイミングを逃すと、せっかく育てたリードを競合他社に奪われることになります。

マーケティング部と営業部の連携を強める

マーケティング部門と営業部門に相互信頼と協力姿勢がないと、せっかくのナーチャリング施策の効果が上がらず、ムダな動きや経費が多くなります。

営業部門とはナーチャリングの初期段階から相談を重ねて、シナリオ設計やコンテンツ作りにも協力してもらうことが大切です。

まとめ

BtoBのリードナーチャリングには、 Web接客、Eメール、セミナーなどさまざまな手法がありますが、そのどれにおいても顧客のニーズに応える魅力的なコンテンツを用意することが不可欠です。

ナーチャリングのシナリオ設計は、既存客の購入プロセスなどを参考にして、できるだけリアルに組み立てましょう。競合する製品やサービスに顧客が流出しないように、適切なタイミングで再アプローチやクロージングにかかることが重要です。

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