2023-11-09
新規顧客開拓のための営業リストは自作すべき? 購入すべき?
BtoB 営業・マーケティング コラム
改定:2023-11-09 | 初版:2020-01-06
新規顧客開拓の施策を始める際に必要なものの一つに営業リストが挙げられます。営業リストを用意することにより直接的な販売機会へのアクセスが得られます。潜在顧客の連絡先情報を集め、事前に定義されたターゲット市場や顧客の特徴に基づいた営業リストを使用することで、マーケティングキャンペーンや営業活動をより効果的に行い、新しいリード(潜在顧客)を見つけ、ビジネスの成長を促進することができます。適切な営業リストは、市場への理解を深め、ターゲットとする顧客層へ直接アプローチするための基盤となります。本稿では、この営業リストを自作する場合と外部から購入する場合のそれぞれの長所・短所を解説します。
営業リスト購入のメリットとデメリット
短期的な利益とリスク
営業リスト購入のメリットは、迅速に多くの潜在顧客にアクセスできる点が挙げられます。これにより、新しい市場や顧客セグメントに素早く進出し、マーケティングキャンペーンや営業活動の立ち上げ時間を短縮し、ブランドの認知度を素早く拡大する機会を提供します。新規顧客開拓の場合「まずやってみる」を重視し、準備期間は短い場合が少なくありません。このような場合はリスト購入のメリットが活かせます。
しかし、リスクも存在します。購入したリストの質が低かったり、対象とする市場と合っていなかったりすると、マーケティング効果は低くなります。さらに、古い情報や不正確なデータを含んでいる場合は、リードのコンバージョン率が低下する可能性が危惧されます。また、バイネームリストの場合は個人情報保護法等に抵触するリスクを鑑み、情報の出自がはっきりしないリストの使用には注意が必要です。
長期的な影響
営業リストの購入による長期的なメリットは、企業が持続的に市場展開を加速できる点にあります。購入リストから得られる大量の潜在顧客データを活用して、企業はより戦略的なマーケティング活動を行い、新規顧客の獲得を継続的に行う基盤を築くことができます。さらに、これらのデータを活用して市場の傾向を分析し、将来的なビジネス戦略の調整に役立てることも可能です。また、潜在顧客の広範なリストは、新しい製品やサービスの導入時に迅速に市場反応をテストするための価値ある資産にもなり得ます。
ネガティブな側面としては、リストの適用性の低下が懸念される点です。初期には多くの潜在顧客にアクセスできる利点がありますが、時間が経つにつれて、企業の成長や市場の変化に伴い、一度購入したリストはビジネスの現状や戦略と必ずしも合致し続けるとは限りません。顧客の職場の変更、業界の変動、または連絡先情報の変更など、データが徐々に古くなっていくことにより、リストの効率性と有効性が減少し、最終的には投資の見返りが低下する可能性があります。そのため、購入したリストの長期的な価値を維持するためには、定期的なレビューと更新が必要となります。
営業リストを自作するメリットとデメリット
自作営業リストの長所
営業リストを自作する場合の最大の長所は、その高度なカスタマイズ性にあります。自社の具体的なニーズに合わせてリストをカスタマイズすることで、ターゲット市場に非常に正確にアプローチすることが可能です。また、自作リストでは、集めたデータの鮮度と精度が保証され、これによってマーケティングキャンペーンの効果を最大化できます。コスト効率も大きなメリットの一つで、外部のデータプロバイダーに依存することなく、長期的に見ればリストの維持にかかる費用を抑えることができます。さらに、自作リストを通じて得られる顧客データは、顧客との関係を深めるための貴重なインサイトを提供します。
自作営業リストの短所
営業リストを自作する際の短所は、特に時間とリソースへの要求が大きい点が挙げられます。効果的なリストの構築は時間がかかります。精緻なデータの収集や整理を続けることに加え、品質の維持には定期的なメンテナンスも必要です。さらに、市場へのタイムリーなアクセスを求める場合、自作リストではすぐに大量の潜在顧客情報を集めることができないため、ビジネスのスケールアップが遅れる可能性があります。データ構築に関する技術や分析能力の習得にも時間がかかり、これらを社内で開発するための追加投資が必要になる場合もあります。これらの要因を考慮し、自作リストの構築は、計画的かつ戦略的に行う必要があります。
営業リストの購入と自作に関する戦略的考察
営業リストの購入と自作の戦略的な選択を考える際には、複数の要素を考慮する必要があります。まず、新規顧客開拓施策の目的と将来的な目標を明確にし、それぞれのオプションがそれらの目標にどのように貢献するかを評価します。購入したリストは迅速な市場へのアクセスを提供する一方で、自作リストはより高いカスタマイズ性とデータの精度を提供します。
コスト対効果を考えると、短期的な費用対効果と長期的な投資収益率(ROI)を比較することが不可欠です。購入リストは初期費用はかかりますが、すぐに活用できる反面、自作リストは時間とコストをかけて徐々に構築しますが、長期的にはコスト効率が良くなる可能性があります。
社内のリソースと技術の可用性も重要です。データベースの管理や分析に必要な技術を持っているか、またはこれらを社内で開発する能力があるかを検討します。データの品質管理とコントロールに関しては、自作リストの方が直接的な管理が可能ですが、購入リストでは提供者のデータ品質に依存することになります。一方で、市場への迅速なアクセスが必要な場合や、特定の時間枠内で成果を出すことが要求される場合は、すぐに大量のリードを提供する購入リストが適していまが、中長期的な施策として顧客データの構築を検討する場合はそのメリットは大きくありません。
これらの側面を総合的に検討し、ビジネスのニーズに最も適した営業リストの取得方法を選択することが、戦略的な意思決定において不可欠です。
リストの質と維持
購入リストと自作リストのデータ品質管理
購入リストの品質管理
購入リストの品質管理は、その有効性を確保するための重要なステップです。リスト提供者が信頼できる情報源を使用しているかの検証が第一にあり、購入する前にリストのサンプルをチェックして品質を予め評価することが有効です。データの経年劣化の対策としては、最新版を再購入することでリストの鮮度を保つことができます。定期的にデータのメンテナンスをおこなうことでも対応できますが、費用や時間を再購入との比較で判断することとなります。このような品質管理プロセスを通じて、購入リストはマーケティングキャンペーンの貴重な資産として機能します。
自作リストの品質管理
自作の営業リストについても、リストの有効性を継続的に保つために品質管理は重要です。このプロセスでは、自社で集めたデータが常に最新であることを保証し、定期的に情報を更新することが求められます。また、顧客との直接的なやり取りから得られたインサイトを活用してリストをより精緻化し、関連性を高めます。リストのセグメンテーションを行い、ターゲットに合わせたマーケティング活動ができるようにすることも品質管理において重要な要素です。
データ更新とその頻度
営業リストにおけるデータの鮮度は、その有効性とROIに直接的な影響を与えます。古いデータは、連絡先が現在も有効であるとは限らず、マーケティングキャンペーンの効果を大幅に低下させる可能性があります。したがって、リストは定期的に更新する必要があり、これによってターゲットの正確性が保たれ、マーケティングの効率が向上します。データの更新頻度は、業界やターゲット市場の動向に応じて調整されるべきです。
まとめ:最適な営業リスト選択
新規顧客開拓の場面に限らず、営業リストの選択は自社のビジネス目標とマーケティング戦略に合わせて、リストの購入ないし自作のどちらが最も効果的かを判断すべきです。新規顧客開拓の場合は他の施策に比べ、準備にかかる時間がより重要となります。この決定には、利用可能な内部リソース、必要な投資の規模、市場での競争力、そして長期的な顧客エンゲージメントの構築への考慮が必要です。リストの質と持続的な価値を確保するためには、データの精度を定期的に評価し、必要に応じて調整を行う柔軟性が求められます。効率的かつ目標に沿った営業リストの管理は、新規顧客開拓を効率化しビジネスの成長を促進するための重要なステップとなります。