2022-12-16
営業リスト作成ノウハウを公開(その1)一次情報ソース11選!
BtoB 営業・マーケティング コラム
改定:2022-12-16 | 初版:2022-02-08
自前で営業リストを作成する場合、企業の住所・連絡先や従業員数などの属性情報を調べてリスト化したデータを作成していくこととなります。
数百、数千件以上の企業データをまとめていく負荷の高い業務となりますが、せっかく人手と時間をかけるのなら、より利便性・汎用性の高いものとしたいところです。
そこで、2記事に分けで弊社が企業リストを作成する際に利用しているものや、データ作成のノウハウをご紹介します。「その1」となる本稿では、企業リスト作成時に有効な情報ソース11選をまとめます。
電話番号や売上高など企業によっては探しにくい項目も、意外なところで確認できることが少なくありません。
また、「その2」となる「営業リスト作成ノウハウを公開(その2)利便性の高いデータはこう作る!」では、検索・抽出などでの利便性が高いデータの作り方について解説します。あわせてご覧ください。
企業データの収集は、まず企業サイトから
皆様がご承知の通り、企業情報を調べるなら各社の自己紹介ともいえる会社概要等のページを確認するのが一番手っ取り早いですが、会社によっては、企業リストに収録したい項目の全ては掲載していないケースもあります。
ここでは、情報収集の利便性の観点からWebベースのソースを基点に、不足した項目の情報をどこから収集していくかという点についてご紹介いたします。
電話番号が見つからない場合
個人情報保護方針・特定商取引法に基づく表示
会社概要や拠点情報のページに住所は掲載しても電話番号を出さない企業は少なくありません。
その場合は他の情報ソースを参照することとなりますが、その前に企業ページ内でもうひと粘りしてみてください。
各社のサイトには「個人情報保護方針(プライバシーポリシー、個人情報の取り扱いについて、等の場合も)」や「特定商取引法に基づく表示」といったリンクがページ下に用意されている場合があります。
これらのページには、その性質から問い合わせ先が用意されていますが、ここに企業の代表電話番号ないし総務、経営企画等の電話番号が掲載されているケースが良く見られます(問い合わせのWebフォームしかない場合も多いです)。
iタウンページ
以前より電話番号を調べる際は電話帳ということで、iタウンページの利用も有効です。
ただし、掲載されている内容が古い情報である可能性について注意が必要です。
弊社で同サイトのデータ更新の周期を把握してはいませんが、以前に「会社が移転した」、「企業名が変わった」、「グループ内で企業再編があった」などの動きがあった場合は、旧情報がそのまま掲載されているケースを目にすることがあります。
iタウンページの情報を利用する場合は、他の情報ソースを参照することで整合性を確認するのが良いと思われます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html
突然官庁の名前が出てきて何事かとお感じの方もおられるかと存じますが、金融庁は「免許一覧」「業者登録一覧」という形で、監督する企業の一覧を公表しています。
一部の地方銀行や信用金庫のWebサイトでは、本店・支店の紹介は積極的でも本社の情報については所在が分かりづらいケースが散見されます。
本店と本社が同じ住所の銀行・信金が大半ですが、両者では電話番号が異なるケースも少なからず存在します。企業リストを作成する側からの印象では金融関連の企業サイトは情報を取りにくい傾向にあります。
「本社」のリストが必要な場合、金融機関の連絡先を調べるだけなら各行のWebサイトを見るより金融庁の一覧表を確認したほうが効率的です。このページには銀行等だけでなく、生損保、貸金業者、電子決済代行業者から監査法人まで一覧表があるのでかなり便利です。
業界団体
各種業界団体のWebサイトにある加盟企業一覧は、企業名等しか掲載されていない場合が多いですが、業種によっては連絡先等の企業情報が掲載されているケースが見られます。
ただし、マーケティング対象が他業種にわたる場合は、特定領域の業界団体について明るくない場合も少なくないでしょう。
企業リストを作成する際には、業界団体のページを探すよりも、電話番号の不明な企業について検索エンジンで社名と「電話番号」のキーワードで検索してヒットした候補の中から、業界団体のサイトを優先して確認・登録していくという運用が効率的です。
ニュースリリース
企業の発表するニュースリリースで電話番号が確認できるケースも少なくありません。
リリース本文の末尾に連絡先が掲載されている場合もありますが、PR Times(https://prtimes.jp/)では、リリース記事の右側に企業の電話番号が掲載されているケースが多く確認できます。
ただし、これらの電話番号が広報部門等の連絡先となっている場合もあるので利用の際は注意が必要です。同様に上場企業(ごく一部でWebページ内では電話番号を公表していない企業があります)の場合は、IR資料を確認することで電話番号を知ることが可能です。
有価証券報告書
有価証券報告書を提出する企業は上場企業が中心となりますが、非上場企業でも約600社が提出しています。
これまでのソースをあたっても見つからない場合は参照するのも良いでしょう。「企業名」+「有報」で検索すると多くがヒットします。
有価証券報告書は、各企業のWebサイトに掲載されている場合もありますが、基本的には金融庁が管轄する EDINET(https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/)に提出・掲載されています。
各種企業情報媒体
これまでご紹介したWeb上のデータソースは一例であり、検索キーワードの工夫で地方自治体の地元企業紹介記事等の思わぬサイトから情報を得ることがありますが、効率化を図るなら上記の一巡+αでWeb検索での調査を終え、有償名簿サービス等の利用を検討すべきでしょう。
見方を変えると、これらを利用しなければ取得できそうにない情報については諦めるというのも一つの判断です。
資本金額、従業員数等の企業情報が見つからない場合
有価証券報告書
上場企業のグループ会社については、親会社である上場企業の有価証券報告書の中に資本金、従業員数が記載されている場合があります。
資本金については「関係会社の状況」の表組、従業員数については「主要な設備の状況」の表組に記載があります。
ただし「主要な設備の状況」については、提出企業によって子会社全体の従業員数が記されている場合と、子会社の当該設備に所属する従業員数が記されている場合の2通りがあるようです。
以前に有価証券報告書の提出企業数社に確認してみた結果として、「主要な設備の状況」の表組の「事業所名(所在地)」の項目に「○○他」と「他」の記載がある場合は子会社全体の人数を指しているものと、弊社では判断しています。
新卒求人サイト
いわゆるリクナビ、マイナビといったものです。転職・中途向けのサイトではなく新卒が良いです。
新卒向けサイトは毎年新しくなるのでデータの正確性がかなり期待できますが、転職・中途向けサイトでは過去に求人情報を掲載した時の企業情報がそのまま掲載され続けている場合がありるため、リストに使えるかどうかは都度検討する必要があるでしょう。
毎年は新卒を募集していない企業については、更新時期を念頭に総合的に判断するべきです。
gBizINFO、しょくらぼ
https://info.gbiz.go.jp/、https://shokuba.mhlw.go.jp/index.html
「gBizINFO」は経済産業省、「しょくらぼ」は厚生労働省が管轄するサイトです。
「gBizINFO」では、設立年月日や資本金、従業員数等の項目が用意されていますが、これらの項目が全て記載されていることはほぼなさそうです。
本ページは必要なものが記載されていれば採用するといったスタンスで利用したいところです。
また、「gBizINFO」の従業員数については「しょくらぼ」の情報を参照しています。
「しょくらぼ」は厚労省が運営する雇用促進・支援の各サイトに企業が入力した内容が反映されているようです。
「しょくらぼ」では情報の更新日も明記されているため、古すぎない情報についてはリストに取り込んで良いでしょう。
決算公告
売上高や資本金については、各企業の決算公告を参照するのも有効です。
ただし、決算公告を自社のWebサイトに掲載している企業はそう多くはありません。
決算公告は官報に掲載されており、官報は国立印刷局のサイト(https://kanpou.npb.go.jp/)等で提供されています。
同サイトでは直近30日分の官報は無料で閲覧できますが、それ以前のものについて有償利用となります。
また、一部の企業については「官報決算データベース(https://catr.jp/)」というWebサイトで閲覧することが可能です。
営業リストの精度は目的に応じて柔軟に
弊社での企業リストの作成方法も交え営業リストの作成方法をご紹介いたしました。
弊社では上記以外のデータソースも利用し営業リストをサービスとして提供していますが、一般的にご案内するには特殊すぎることもあり割愛いたしました。
とはいえ、通常のご業務をこなしながら上記の情報元にあたっていくのは面倒にお感じになる方もおられると思います。
営業リストを作ることにより最終的に商品・サービスの販売が拡大すれば良いので、情報の取得に手間や時間のかかる項目については無視して、準備できたものからテレアポするなりDMを送付していくという運用で良い場合も多いでしょう。
ある程度以上の企業数を収録した営業リストを作成する場合、どうやっても全項目が100%埋まったリストにするのは不可能なので(弊社も無理です)、適切なところで折り合いをつけるのが肝要だと考えます。
本稿の内容で、参考となる部分があるようでしたらぜひ活用してみてください。