2023-10-26

市販営業リストの選択時に使える3つのタイプ別分類と品質評価アプローチ

BtoB 営業・マーケティング コラム

改定:2023-10-26 | 初版:2019-12-24

さっと検索するだけでも法人営業リストのサービスは数多く見つかります。販促やマーケティングの施策の実施にあたり外部データを探すにも何を判断材料とすべきか悩ましい状況です。

そこで今回は、企業リスト提供会社の立場から各営業リスト持つ傾向を整理します。「営業リスト」で検索すると「おすすめツール10選!」といった記事が数多く見つかりますので、個別のサービスの紹介はそちらに任せ、本稿では、リスト情報の構成や提供の仕方からいくつかの切り口で分類しサービス選択の補助線を提示します。

情報提供の形式

営業リストは、収録企業を業種や規模などの属性が一定の条件に当てはまる企業で構成されることが一般的です。まず、リストサービス各社からどのような形態で企業データを取得できるに注目して分類します。

データベース操作型

「営業リスト」のキーワードで検索した結果画面のリスティング広告で出てくるサービスの多くがこちらに該当します。サービス側で大量の企業データを保有し、ユーザーはサービス画面で都道府県や売上高、従業員数等の条件を指定して企業リストを取得できます。SaaS やクラウドサービスとして提供されMAやSFA等と連携できるものもあります。各サービスの紹介ページを見るとユーザー数も多く、営業リストの作成ツールとして現在主流のサービスと言えます。

抽出データ提供型

サービス提供会社が保有するデータベースより、希望の条件で絞り込まれた企業リストを購入するタイプのサービスです。「データベース操作型」が提供される以前は、自分の希望する条件に合うよう内容を変更できる企業リストサービスはこのタイプぐらいでした。老舗の企業調査会社等も提供しており、企業リストとしては多くの実績がある形式と言えます。

固定リスト提供型

業界リストや工場リストといった一定の条件で収録された完成品を提供するタイプのサービスです。一部では地域や業種でのフィルタリングに対応するなど、すべてが完全固定というわけではないですが、前出のタイプのように広範なデータを対象としたものではなく特定のテーマを深堀りするようなタイプのリストが多い傾向にあります。

情報収集の手法

サービス形式に続き、各企業リストのデータ収集法に着目して分類してみます。サービスによっては複数の形式を利用してデータを構築しているものも少なくありませんが、どの手法を主としてデータが構築されているか、また、それに伴うデータ更新の頻度がわかれば、利用目的に沿った企業リストが選択しやすくなります。

自社調査型

企業調査会社等が提供する企業リストはこのタイプが多いです。自社で各企業を調査し情報を取得しデータ化しています。提供会社は老舗企業が多く新規業者が簡単にできる手法ではなさそうです。何かの資料を参照するのではないので、収集時点のデータの正確性は高いものが期待できます。ただ、人手を介すものとなるため数十万件ほどあるデータの更新が一巡するにはそれなりに時間がかかるようです。

自動巡回型

各企業のWebサイトを自動巡回して会社概要ページの情報を取得するといった収集方法を取っています。また、タウンページや、求人サイト、外食店レビューサイト等を巡回するとしているサービスも多く見られます。各種情報サイトを参照する場合は、社名や電話番号が記載されている場所がある程度決まっているので狙いやすいですが、企業ページの体裁は各社様々なので、企業サイトの自動巡回だけで情報を正確に取得することはかなり難しいです。企業サイトを巡回するタイプのサービスは、ある程度人的作業も加えることで正確性を確保することが可能ですが、そうするとデータの更新頻度に犠牲が出ることが予想されます。Web巡回型を利用する場合は、自動巡回・更新の手法や頻度が自社の目的に合致するサービスであるかを意識して選ぶと良いでしょう。

テーマ特化型

企業Webサイトに加え、業界名簿や許認可関連資料等、デジタル・アナログを問わず参照してリストを作成するタイプのサービスです。企業ページには電話番号が記載されていないが別の媒体には掲載されているといったケースも少なくありません。データ収集では人的作業の比率が比較的高くニッチなニーズに対応するも、掲載数は自動巡回型に及ばない傾向にあります。

オンライン施策では難しい役職層にアプローチ!|ターゲットリスト総合ページ

契約体系

続いて、購入や利用契約等に関する面からサービス形態を分類します。

サブスク型

月々いくらといった契約でサブスクリプション形式で利用するサービスです。各種マーケティングツールと連携するような営業リスト作成ツールとして提供されるサービスに多く採用されており、常時新しい営業リストを用意するニーズがあるような場合は高いコストメリットがあります。

買い切り型

希望する条件に沿って用意された企業リストのデータを一括で購入するタイプのサービスです。リスト料金のを支払いは一度きりでなので、年次イベント等の告知を広範囲に実施する場合などコストパフォーマンスが良く、購入後は何度でも使えるため、一定の企業群に対し繰り返しアプローチするような施策を実施する場合にも有効です。

複合型

営業代行やDM発送代行会社等が、アプローチ先の企業リストも併せて提供するタイプのサービスです。企業リスト自体の利用料については、施策ごとに必要となる、ならないがサービスごとで様々です。利用者側の社内ルールで外部リストのデータを自社で抱えてはいけないといった企業もあり、そういった場合には複合型の利用が適しています。

リストの掲載内容と情報精度

これまで提供形式、情報収集手法、契約形態の3点から営業リストサービスを分類しました。次に、タイプ別分類とは別に営業リストで重視される要素について考えてみます。

内容

リスト選択にあたり最も重要な「掲載内容」についてですが、基本的な連絡先情報は別として、各サービスごとに提供する「従業員数」「売上高」といった属性項目の採用数は様々です。利用の際は項目数よりもターゲットの絞り込みに必要な項目があるかどうかで判断すれば良いでしょう。施策の際は複数の項目で絞り込むことも少なくないですが、絞り込み対象の項目数が多すぎるとコンバージョン率は上がれどその絶対数が少なくなってしまいかねません。営業リストが収録する属性項目の数自体はある程度の目安として見ておくべきです。

精度

また、「掲載内容」に次いで重要な「情報精度」について整理ます。古くからのリスト事業者界隈では1割程度の不達率は許容範囲内としてリストを提供していると聞きます。数十万ないし百数十万の企業データを常に最新の情報にしておくことは不可能なので、ここら辺が落としどころなのでしょう。なお経産省の調査によると、実際に活動している法人数は約188万社とされています(平成28年経済センサス)。

一方で、データ更新の頻度等を増やし情報精度が高いことをアピールしているサービスもいくつか見られます。多くがインターネットを自動巡回するプログラムを用いて各社の更新(住所移転等)状況を収集するとしています。高い技術力により常に最新の情報が提供されているようにも見えますが、今話題のChatGPTで「トヨタ自動車の財務部長」を問い合わせたところ、数年前の情報だと前置きされて、同社の別の役職者でも同名の人物が見つからないような氏名を提示される状況ですので、情報精度については利用してみるまでは分からないというのが正直なところです。サブスク型の利用を検討されるなら、いくつかを試用してみて判断するのがよいでしょう。

まとめ

以上、市販の営業リストを採用する時に判断材料とできる、サービスを構成する3要素のタイプ別分類と、サービス品質を知る手がかりについてご紹介しました。

せっかく市販リストを購入するのだから多くの要素をカバーできるものを利用したいとか、緻密なフィルタリングでマーケティング対象を絞り込みたいといったニーズがあるのはよく理解できます。

特に初めて市販リストを利用する場合には、なるべく失敗のない選択をしたいと考えるのも当然です。

ただ、完璧な営業リストというものはおそらくどこのサービスでも提供されていませんので、まずはざっくりとした条件で使用してみて、利用の仕方をチューニングしてみるか、別のものも試してみるかを判断するのが良いでしょう。判断の物差しには、先に挙げた3項目のタイプ別分類を利用してみてください。

本稿が、各サービスの特徴の理解や、これから実施する施策に最適な選択への一助となれば幸いです。

他の企業リストにはない部門責任者名を掲載|ターゲットリスト総合ページ