2023-02-02
営業・マーケティングで利用する企業リストの収集法13選
BtoB 営業・マーケティング コラム
改定:2023-02-02 | 初版:2020-01-06
BtoBの営業やマーケティングの施策で必要となる営業リスト・企業リストを作成する場合、まず社名・住所・電話番号といった企業情報を収集しますが、その手段はいくつかの方法が考えられます。
Web上だけでもいくつかの情報ソースが想定できますが、収集の手間・工数や情報の正確性を考慮し目的に合った取捨選択が必要です。
本稿では、情報の収集手段として13種類を上げ、その性質・特徴をまとめます。施策に応じた営業リスト・企業リスト作成の際に参考にしてみてください。
企業情報の収集法13選
企業情報の収集法については、無料で利用できるものと費用がかかるものの大きく2つに分類できます。無償のものは主にオンライン上の情報を利用するもので、時間をかければかけるだけ企業の基本情報を広範で網羅的に収集できます。一方、有料のものは無料の施策に比べて費用だけでなく手間もかかりますが、担当者情報が取得できたり、ニーズ等の生の声が聞ける場合があるなど、より質の高いリード情報が期待できます。
「無料で実施できる施策」は、主に7つが挙げられます。
- 企業Webページ
- 求人情報サイト
- 官公庁サイト
- 業界団体の会員名簿
- BtoBデータベースサイト
- タウンページ
- ハローワーク
「費用が必要な施策」は、主に6種類が挙げられます。
- 展示会・イベント
- セミナー
- 新聞等の報道メディア
- 会社四季報等の企業情報媒体
- 企業情報ソリューション
- 市販リスト
各施策ごとに特色や利点等をまとめてみます。各施策についてはどれか一つに絞るのではなく、営業・マーケティングの対象や目的を考慮して、いくつかを組み合わせて実施するとより効果が期待できるはずです。
無料で実施できるオンライン施策
企業Webページ
企業情報の収集に関しては最も基本的で、信頼性の高い情報ソースが企業のWebページです。
多くの企業サイトでは、会社概要のページに本社住所・電話番号や設立年月日、資本金額といった基本情報に関する内容が記載されています。
ただし、企業によっては会社概要ページに会社所在地を掲載していなかったり、所在地情報を記載していても電話番号は掲載していない場合もあります。
その場合も「企業概要」や「所在地一覧」に掲載されていないだけで、その企業の他のページやニュースリリース等から取得できることも少なくありません。作業効率の観点からどこまで深堀して見ていくかについては検討が必要ですが、概要にないからと直ぐにあきらめるのはもったいないです。
求人サイト情報
リクナビやマイナビなど、求人サイトにも企業情報が掲載されています。企業によっては、売上高や従業員数を自社の公式ページに掲載していない情報を求人サイトには掲載している場合も見受けられます。特に新卒向けサイトは情報鮮度も高く利用価値が高いといえます。海外展開を積極化しているとかDXを推進しているなど、会社説明も詳しく掲載されているので、別の場面で役立つ情報が入手できることもあります。
官公庁サイト
霞が関の各省庁では、それぞれが管轄する法令によって登録や免許が必要な事業をおこなう企業の一覧が公表されています。
例えば、国土交通省なら宅地建物取引業者、経済産業省ならアルコール許可使用者名簿、金融庁なら銀行免許一覧、といったものが該当します。これら3省庁では例に挙げたもの以外の「一覧」も公表しているほか、他の省庁でも同様の「一覧」多数掲載されています。
また、地方公共団体では、各種事業に関する許可業者名簿を公表しています。業種業態を絞らず特定地域を対象とした施策なら入札参加資格者名簿も活用できそうです。
資料によっては手持ちの企業情報で不足している内容を補填することも可能ですし、業界一覧としても利用できるでしょう。
業界団体等の会員一覧
多くの業界団体ではWebサイトで会員一覧を公表しています。大半が参加企業名を一覧にしている程度なので、企業の基本情報を取得するには他の情報ソースも併せて利用する必要があります。とはいえ、企業名にWebページのリンクが付けられていることが多いので、ソースへのアクセスにはさほど苦労しません。
BtoBデータベースサイト
企業マッチング支援を目的としたBtoBデータベースサイトの活用も有効です。取扱品目別・サービスに抽出ができるため業界一覧としても利用できます。
ただし、掲載される連絡先情報については、販促等での連絡には適さない部門となっている場合もあるので、企業サイト等もあわせて確認する方がより良いでしょう。
タウンページ
タウンページは職業別電話帳として、古くから営業リストの情報収集ツールとして活用されてきました。今では、Web版の「iタウンページ」が利用できるため、より効率的に情報収集が可能です。
ただし、一部では古い情報のまま(旧社名等)掲載されている場合もありますので、注意が必要です。
ハローワーク
ハローワークは求人サイトの情報収集と似ており、業種や特定地域で絞り込みができます。求人サイトと異なる点は、工場や地方支店等がおこなう求人が掲載されているケースも多く、工場の連絡先等を調べる場合に活用できる場合があります。
一方で、募集が完了すると掲載されなくなるため、通年で掲載される新卒求人サイトと同様の使い勝手とはなりません。
オフライン施策ないし有償のサービスを利用する場合
展示会・イベント
展示会やイベントへの出展は、そのテーマについて一定の関心を持って来訪した各企業の担当者へ、直接製品・サービスの説明することができ、質の高いリード獲得が期待できます。
また、出展企業一覧は特定業種のリストとして価値が高いものとなります。とはいえ、この一覧は「セールス禁止」との注記が付されていることが多いため、営業やマーケティングの現場に落とし込むには別途加工が必要です。
セミナー
展示会への参加に比べてセミナーへの参加は、参加者がより能動性を持った行動といえます。会社や上司から参加を無理強いされたのでなければ、参加者がセミナーのテーマについて関心を持ち学びを得ようとしているホットリードの有望候補です。また、セミナーへの参加を指示した人物がいるのなら、その方もリードナーチャリングの対象といえるでしょう。
一方で、だたセミナーを開催するだけでは大きな集客は望めません。内容もさることながら、より多くの人に「セミナー開催」の事実を知らしめる必要がありますが、それには企業リストを使った周知活動が必要となります。既に周知リストを持っていたとしても、異動や退職等で時間が経つごとに数が減っていく事は避けられません。
このため、「セミナーを活用したリスト作成」は、質の高いリストを作成するためのリストを作成する事を繰り返す事が重要です。
新聞等の報道メディア
日経新聞や業界紙に掲載される人事異動の記事を活用することも有効です。新任担当者の名前がわかるだけでなく組織改編の情報も取得できるため、その企業が目指す方向性を理解する手掛かりにもなるでしょう。
仮に新組織で自社サービスが採用になったとすれば、組織化が後手になっている同業他社にも潜在ニーズがあると考えてよいので、営業やマーケティングの施策を組み立てる際にも大いに参考となります。
会社四季報等の企業情報メディア
会社四季報や日経会社情報は広範に企業の基本情報を収集するのに便利です。これらは、日経会社情報は書籍版が廃刊、会社四季報はCD-ROM版が廃刊し、Webサービスへの移行が進んでいます。
企業の基本情報を取得するだけなら会社四季報は安価に契約できますし、日経新聞電子版を契約していれば日経会社情報は追加費用無しに利用できるので、いずれも導入しやすいのが利点です。
できればいずれかにはアクセスできる体制を用意しておきたいところです。
日経会社情報は一部未上場企業の基本情報も掲載されていますが、どちらのWebサービスとも掲載内容は上場企業が中心となります。未上場企業については「会社四季報未上場企業版」等が取り扱っていますが、デジタルデータを取得しようとすると比較的高額になるのは注意が必要です。
四季報の書籍版は安価で購入できますが、リスト化するためには結局デジタルデータにすることになるのでコスト的には考慮が必要でしょう。
企業情報ソリューション
近年、SFAやCRM関連のソリューションとして、サブスクモデルで大規模な企業情報データベースを元にニーズに応じた営業リスト提供するWebサービスが増えてきました。
企業データの構築に関しては、インターネットを巡回するプログラムを利用してマイナビ、食べログといった情報サイトから情報を取得してきているものも多いようです。
これらのサービスは、営業やマーケティングの目的に沿って業種や規模で絞り込んだ企業リストが簡単に作成できることが特徴となっています。
データベースに掲載される企業数は上記企業情報メディアと比べてかなり多くなっていますが、一般に、自動収集された情報は誤登録された内容も含まれる可能性がある(収集プログラムが取得したA社の住所が、実はA社Webサイトに掲載された子会社のB社の情報を引っ張ってきていた等)ので、いきなりDM送付先等にするのではなく、テレアポリスト等の人的判断を挟むような運用を優先する方が望ましいでしょう。
市販リスト
ここでいう市販リストとは、企業情報を取り扱う名簿事業者が販売する営業リストを指します。企業情報を収集して、業種や地域等の条件で絞り込んだ一覧を、ExcelやCSV形式のデータで販売する名簿事業者が多いです。
企業情報を収集する方法は、巡回プログラムでネットから集めてくる会社や、人的確認でデータを構築する会社等、各社で様々なようです。
データの精度にも各社で差があるようなので、利用の際は掲載件数や掲載項目といったリストのスペックに加え、可能であるならば情報収集の仕方や時期を確認したほうが良いでしょう。
企業リストを利用する場合に注意すべきこと
企業リストを利用する場合は、その施策を効率化するためにも以下2点を確認してください。
1.情報鮮度
弊社が提供する「ターゲットリスト」の場合、メンテナンスを実施しなかった場合、企業リストを作成後1年経過時点で約5%前後の企業情報で修正が必要となる事がわかっています。
主な理由として、社名変更や移転により修正が必要となるケースや、HD化・会社分割等による企業グループ改変、合併等の再編による企業の解散といったケースが挙げられます。
ただし、「ターゲットリスト」は比較的規模の大きい企業を中心に掲載したリストであるため、上記の傾向が強くなっていると考えられます。
いずれにしろ、企業リストは、情報を収集した時点から情報の劣化が始まると考えて間違いありません。
企業リストを継続的に運用する場合は、メンテナンス手段を整備する、更新の時期やルールを決めておく、といった対応が必要です。
2.情報の重複
複数のソースから企業リストを整理する事も少なくありませんが、同一企業を複数登録しないよう対策すべきです。
特に企業名の表記揺れには気を配る必要があります。
例えば、「株式会社プログレス アンド パートナーズ」「株式会社 プログレスアンドパートナーズ」「株式会社プログレスアンドパートナーズ」の3つの表記は一見同じように思いますが、文字列が一致するかで重複を判定すると全て異なる企業名となります。
これは空白文字の有無や位置が異なるためですが、「株式会社FOOD&LIFE COMPANIES」といった英字のみの名前の企業もあるため、リスト全体から社名の空白文字を一律で削除するというわけにもいきません。
このように社名の重複の確認は案外簡単ではありませんが、国税庁が指定する「法人番号」を利用するのも解決策の一つといえます。
複数ソースを利用する場合は「法人番号」が掲載されているソースから選択することも検討してみてください。
同様にリストへ「TDB企業コード」や「TSR企業コード」等の付加を希望される企業様が時折おられますが、これらはいずれもコード発行企業に著作権がある著作物となりますので注意が必要です。広く情報ソースに当たってリストを作成したい場合は「法人番号」の利用が無難です。
まとめ
以上、BtoBの営業やマーケティングで使用する企業リストの取得方法と注意点についてまとめてみました。自社で作成するか、何らかのサービスを利用するかといった判断の一助となれば幸いです。
また、弊社が「ターゲットリスト」を作成する際に利用する一次情報の収集方法について別途記事にまとめています。「営業リスト作成ノウハウを公開(その1)一次情報ソース11選!」 もあわせてご覧ください。